2022年8月にこのような事故がありました。
23日昼すぎ、静岡県浜松市にある自動車メーカー「スズキ」の本社の食堂で、ちゅう房にいた14人が体調不良を訴え、病院に搬送されました。
現場からは一酸化炭素が検知されたということで、警察と消防は一酸化炭素中毒の疑いがあるとみて、詳しい状況を調べています。
NHK WEB
スズキ本社の社食厨房での一酸化炭素中毒事故です。
大手メーカーの食堂ですから、厨房もそれなりの規模だと想像できます。
どうやら食洗器の不具合が原因だったようですが、ビルメンの私からすると
厨房の給・排気ファンの不具合ではないかと疑ってしまいます。
お盆休み明けの出来事なので、その間ファンを停止にしていたとか
メンテナンスが入って、その後自動運転に切り替え忘れたとか・・
実際どうなのかは、分かりませんが。
厨房給・排気設備
大規模施設の厨房は一般家庭にある換気扇のようなものは存在せず
給気ファンと排気ファンが一組になって設置してあります。
その巨大な給排気ファンが其々ダクトを通して各厨房の給排気を行う仕組みです。
業務用の厨房機器はカロリーがとても大きいため、家庭用コンロとは比較にならない
酸素を必要とし、二酸化炭素を排出します。
そのためカロリーに応じた新鮮な空気の供給と汚れた空気の排出が必要となります。
それぞれのコンロにはその熱量に応じたレンジフードが設置されていて
必要排気量が設定されています。
一定規模の施設においては、建築基準法によって年一回の建築設備定期検査が
義務付けられていて、その項目の中に厨房排気設備の風量測定が
盛り込まれています。
私が以前勤めていた高層オフィスビルには一階や地下階に飲食店が多く入居しておりましたので
巨大な排気設備が地上100Mほどの屋上に設置されていました。
(給気ファンは地下階にあったかな?)
勿論風量測定も実施していました。
機器不具合の影響
点検は毎月行っていましたが、築50年程のビルだったので、ダクト等に損傷が多く
排気量に影響があったりして改修を繰り返した記憶があります。
厨房排気が停止すると、そのビルにある飲食店の厨房排気機能がすべて失われるため
非常に危険な状態に陥ります。
レンジフードの排気が止まると、排熱により消火設備が発動しますので、甚大な被害が
発生することになります。
しかし、それよりも不完全燃焼による一酸化炭素中毒は
人の命にかかわります。
まとめ
一般家庭にある換気扇はキッチンの近くにあるファンから室内の空気を
排出する仕組みになっています。
排出した分の空気はどこから補われるかというと、建物の隙間からという事になります。
一方、大規模な厨房、特に密閉性の高い高層ビルなどの場合は、排気した同量の空気を
給気しないと建物内の負圧が進んで、排気機能も落ちていきますし、酸素不足に陥ります。
そのため、排気ファンと給気ファンがセットになって設置されているわけです。
というわけで、あなたが配属された施設に飲食店がある場合、
厨房給排気ファンの点検は特に気を付けましょう。
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