営繕#2 ブレーカー復旧

ビルメンのお仕事

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プルルルル・・ガチャ

私:「はい、中央監視室です。」

テナント様:「すいません。5階の〇〇ですけど、電源が落てしまったみたいです。」

私:「あ、電源ですか?どの様な状況で・・」


こんな感じで、テナント様からコンセントが使えない旨のクレーム、多いです。

という訳で今回は、ブレーカトリップの対処法をご紹介したいと思います。

インタビュー

まず初めに、電話をしてくれた方に詳しい状況を聞きます。

オフィスの場合 ⇒ 「お昼に電子レンジを使ったら・・」
飲食店の場合 ⇒ 「コンセントに水がかかってしまって・・」


コミュ障の人でもこれくらいの情報は聞き出しましょう。

過負荷か漏電か

ひとえにブレーカートリップと言っても、過負荷と漏電があり,それぞれ対応の仕方が異なりますので、それぞれ別に説明します。

過負荷

MCCB

通常、テナントには100Ⅴで電源を供給しているので、過負荷=過電流と同義となります。(電力=電流×電圧なので)通常コンセント回路にはMCCBと言われる配線用遮断器(ブレーカー)が取り付けてあります。
例えば20Aのブレーカであれば、20A以上電流が流れると危険という事で遮断機能が働きます。とはいえ、設定値以上の電流が流れたら直ぐに落ちるわけではなく、電技(電気設備技術基準)で定められた値(作動までの時間)に従い作動するように作られています。遮断する時間は以下の通りです。

30A以下の場合
・定格電流の1.25倍の電流が流れた場合・・・60分以内
・定格電流の2倍の電流が流れた場合・・・2分以内

ちなみに、定格電流の1倍ではトリップしてはいけないことにもなっています。

過負荷時の対処法

ほとんどの場合、高負荷機器を複数同時に使っていたことが原因です。

取り敢えず、現場に着いたら当該コンセントの電圧をテスターで確認。

電気が来ていないことを確認したら、その回路の分電盤を調査します。

”OFF”になっているブレーカーを確認したら、高負荷の機器をコンセントから外してもらいブレーカーを復旧します。(状況によっては絶縁抵抗測定を行ってから復旧)

上の写真のように、遮断機能が働いた場合にレバーが中央で停止するブレーカーがあります。このタイプは一旦レバーを”OFF”の位置に下してからでないと復旧できません。真ん中で止まるタイプと下まで落ちるタイプとさまざまなので注意しましょう。

負荷について

コンセントは普通、電圧100Ⅴですので、1000wの機器には10Aの電流が流れる計算になります。ポットも湯沸かし時には1000w近い電力を消費しますので、電子レンジとポットを同時使用しただけで、既に20Aのブレーカーの許容量の限界に近い状態となります。ここに数百ワットの冷蔵庫が常に接続された状態であれば、状況によっては直ぐに遮断機能が働きます。
「いつもと同じ使い方だったけど?」とおっしゃる方もいますが、許容電流上限に近い場合は、冷蔵庫のコンプレッサーが起動していたり、電源投入のタイミングなどちょっとした条件の違いで落ちることもあります。
復旧後はクランプメーターを使い、通常時の電流値を確認します。電子レンジなどを使用する余地がなければ、余裕のある回路を使用するか回路の増設を提案したりします。

クランプメーター


補足
レーザープリンターは稼働時に電子レンジ並みの電力を必要とするものがあり、他の負荷と重なって過負荷トリップすることがあります。トリップしなくても同一回路にPCが接続されている場合は、電圧降下で動作不良を起こすことがありますので要注意です。

漏電

ELB

漏れる電気と書いて、漏電。読んで字のごとし、電線の被覆が傷ついたりコンセントが水にぬれたりして、電気が回路外にもれている状態です。人が触れば傷害を負い、建物においては火災の原因となります。ELBと呼ばれる漏電遮断器は、漏れ電流を検知し瞬時に回路を遮断する、人的・物的被害を防ぐための安全装置です。厨房やウォシュレット電源など水回りの回路に取り付けられていますが、現在はすべての回路にELBを採用してることも少なくないようです。



ELBには感度電流と遮断する時間に色々なタイプがありますが、一般的なELBは30mA以上の漏れ電流を検知したら、0.1秒以内に遮断するように設計されています。漏電遮断器は過電流遮断機能も備えていますが、遮断理由が漏電か過負荷の違いは漏電表示ボタンで判断します。

上の写真は漏電により飛び出ている状態ですが、レバーを復旧させるとボタンも戻ってしまいますので、漏電表示ボタンの状態は絶対に確認しましょう。

漏電時の対処法

漏電検知機能が働いた場合は、メガーで絶縁抵抗測定を行います。(メガーの使い方は別に紹介しようと思います。)コンセントに水をかけてしまったとか、被覆の剥けたコードが床に触れたなど、原因の分かりやすいケースの場合は測定値結果に明確に現れます。
水が原因による漏電の対処法は単純に水が乾くまで待つことです。緊急の場合などは、送風機や投光器で乾燥を促します。暫くして、再度測定を行い、絶縁が回復したら復旧させます。復旧の判断は抵抗値二桁以上の回復を目安とします。

尚、電気設備に関する技術基準を定める省令から、100Ⅴの絶縁抵抗値は0.1MΩ以上なくてはいけません。200Vは0.2MΩ、400Vは0.4MΩ以上という基準がありますが、抵抗値が一桁台ですと、絶縁状態が悪い傾向にあると考えられますので注意が必要です。

コンセントの破損や、被覆の剥けたコードなど物理的損傷を受けた機器が原因の場合は、それ自体を交換するか取り外します。

接続機器が電源投入状態の時のみ漏電する場合や、モーターの振動を受けた時だけ漏電するなど、間欠的に発生する事例はよくあります。原因特定は慎重行う必要があります。

UPSについて

UPS(無停電電源装置)電源が回路に接続されている場合、絶縁抵抗測定の値が低くなります。機器によっては故障の原因となるそうですので、メガー測定時はUPSを外して頂くよう交渉する必要があります。

最後に

ブレーカーが落ちた場合、大抵はお客様から早急な復旧を促されます。厨房などは尚更ですが、急かされたからと言って、根拠なく復旧するのは絶対やめましょう。漏電の場合は深刻な事故に繋がります。対応に不慣れな方は詳しい先輩などに同行するようにして場数を踏むのが賢明です。単なる過負荷でも、絶縁抵抗測定を義務化している現場も多いですので、その場合はルールに従いましょう。
稀に復旧が困難なケースがあります。接続機器を含め回路内の短絡であれば対地間の絶縁測定で異常が出ないこともありますし、機構が複雑な分ELBは故障頻度が高い(私の周りでの印象)のでその辺も考慮に入れておくと良いでしょう。

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