びっくりビルメンマン その7

当時アラフィフだった非正規ビルメンAさんの話。

年齢の割にとても若く見えたAさんは大卒でした。

かの”日本一の大学”出身で、かつては大手企業に勤めていたとか。

しかし、リストラにあってビルメンに流れ着いたそう。

良くある話です。

元々なのか、リストラによるショックなのか分かりませんが、

Aさん、仕事に全く興味がありませんでした。

「ビルメンではマジョリティーだろ」という声が聞こえてきそうですが、

その仕事に対する興味の無さはエリート級でした。

現場では私より2年程先輩でしたので、最初に色々と質問をしましたが

全ては暖簾に腕押し状態。


私:「このビル、契約電力は何kwですか?」

Aさん:「ちょっと解らないですねー」

私:「2階の空調機、異音がしていますけど?」

Aさん:「あ、そうなんですねー」

私:「10階のテナントさんから異臭のクレームです!」

Aさん:「・・・」

漏水や停電などトラブル発生時に自分から動く事が皆無なのはもちろんで、

点検や清掃等の定期作業も手順をあまり覚えていない様子。

全てがこんな感じでしたが、一番問題だったのは

仕事中に眠ってしまう事でした。

監視業務の時にモニターの前で居眠りをしてしまいます。

誰でも居眠りくらいはするものですが、Aさんの場合は隣で業者が作業

していても、テナントさんが来ていても気づくと、こっくりと船をこぎ始めます。

管理会社の偉い人が来た時もモニターも前で地蔵化していたので

慌てて起こしたことが何回かありました。

数分前に会話していたのに振り向くとスリープ状態になっていることがあり

どうも睡眠障害(ナルコレプシー)があったのではなかろうかと思います。

そうだとすると、病気なので本人に責任はありませんが、

Aさんの場合、無類の酒好きだったので何とも言えないところがありました。

「西友のチューハイが美味しくてやめられないんだよね」

嬉しそうにそう語っていましたが、そのチューハイを両手に袋一杯

買い込んで、一晩で飲み干してしまうんだとか・・

その影響か、ある日こんなことがありました。


別の先輩と宿直担当だった時の話

夜8時

”プルルル”

先輩:「ハイ、中央監視室です」

Aさん:「あ、もしもし〇〇です!すいません寝坊しました!今から会社向かいます!

先輩:「・・?お前何寝ぼけてんだよ(笑)いま夜の8時だぞ」

Aさん:

コントみたいな話ですが、実話です(笑)

そんなAさんですが色々とミスを連発、閉めちゃいけない蒸気バルブを閉めたり

頼まれた仕事を忘れたりで、スーパービルメンさんに毎日のようにドヤされ

やがて

「もう、耐えられません」

と言って去って行かれました。

今だったらパワハラ案件で何とかなったと思うのですが・・

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