2021年末の話ですが、東京の皇居で宮内庁の施設管理担当の方が死亡する事故がありました。
同庁関係者によると、亡くなったのは宮殿管理官付の50代男性職員。8日朝、宮殿「豊明殿」の廊下で、脚立を使って高さ約3メートルの天井と、屋根の間に置かれたバケツに水がたまっているかどうかを点検中に落下したとみられる。肋骨(ろっこつ)を折るなどして東京都内の病院に救急搬送されたが、13日夜に死亡した。
引用:jiji.com
記事によると”約3メートルの天井と、屋根の間に置かれたバケツに水がたまっているかどうかを点検中に落下したとみられる。”とあります。
この痛ましい事故はビルメンの私にとっては、本当に他人事ではありません。
漏水対応で天井内にバケツを置く、というシチュエーションは、私自身何度も経験していますし、この事故と同じ時期に同じような対応をしていました。
漏水の原因が配管など特定出来ればよいのですが、躯体を伝わり染み出してくる経路不明の場合は、原因特定までバケツなどで水を受ける一次対応しかできません。
漏水の拡散防止や美観の点から、床面よりも天井内で水を受けるように自ら判断したり、指示を受けることが多いと思います。
一般的なオフィスビルの天井高は2.7m以上ありますので、天井内作業は労働安全衛生法で定める”高所作業”に該当します。
※足元が2m以上となる作業は高所作業となる。
高所作業を行う場合は、ヘルメット装着は勿論、足場を組んだり安全帯を装着するなどの対策が義務付けられています。
しかしながら、オフィスビルや公共施設において漏水が発生した場合は、一刻も早い対応が求められますので、ヘルメットを装着するのが精一杯といったケースも少なくありません。
足場を組んで安全を考慮した対応が許される余裕が、今も昔も日本の社会には少ないように思います。
そんな状況で、自衛する手段は何かと問われたら私はこう答えます。
一人ではやらない
皇居での事故は、普段二人で行っている作業を同僚が休暇中の為一人で作業したとあります。
漏水に限らず、電球交換やアネモ調整など2m以上での作業が多いビルメンにおいては、たとえ緊急性が無くとも、単独で行う高所作業は絶対に避けるべきだと、改めて思います。
一人では、危険な状況にあると客観視できない為、バランスを崩したり、無理な態勢を取らざるを得ない場合が多くなりますが、複数人で行えば、お互い安全を確認し合いながら作業が出来ますし、万が一落下しても早急な救護が可能です。
私自身も”慣れ”により一人で高所作業をしてしまう事が良くありました。
皇居での事故は非常に痛ましい出来事ではありますが、同業者として、また労働安全委員の立場として今後の教訓とさせて頂きたいと思います。
最後に、事故により亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。
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